安さと便利さの奥にあるもの

【2006年04月09日】

先月、新商品情報システムを公開したところですが、ここに載せる原材料などのデータを集める際に、添加物などもメーカーから規格書をいただき勉強したこともあって、たまたま本屋で目にしたこの本を読んでみることにしました。
食品の裏側―みんな大好きな食品添加物
食品の裏側―みんな大好きな食品添加物 
安部 司
発売元:東洋経済新報社
発売日: 2005/10
商品情報システムを三重県の食の安心リーディングビジネスに応募して、プレゼンテーションを行った際、原材料などのトレーサビリティをすべて公開したいといったところ、審査員の方が「豆腐ならシンプルな原材料からできているので可能かもしれない」といっていただいたことを思い出しました。
確かに豆腐の場合は、主原料の大豆と添加物である凝固剤・消泡剤のみなので大変シンプルです。でも実際に公開しようと勉強してみると、凝固剤でも工場内に塩化マグネシウム、硫酸カルシウム、グルコノデルタラクトンと大まかに3種類あって、消泡剤は製品としては2種類でしたがその中身は思ったより複雑だったりしました(と言ってもごく一般的に使われているものです)。
シンプルと言われる豆腐でさえ並べてみると結構な物質名になってしまいます。
加工食品の表示を見ると必ずと言っていいほど、むずかしい添加物の名前が並んでいます。中にはカット野菜のように、加工と言っても切っただけと思うようなものにまで、添加物が使用されているものもあります。「○○不使用」や「減塩」などと目立つようにシールが貼ってあって消費者の健康志向にマッチした商品であるかのようで、実は一部の添加物が使われてないだけとか、塩の役割を添加物で補っていたりします。イメージや商品名で自分たちがごまかされている(勘違いしている)ものもたくさんあります。醤油やみりんと思っていても実は中身は別物なんて結構あるようです。
去年こんなことがありました。
趣味のイカ釣りで、イカを沖漬けにするために醤油と酒と味醂で作ったものを持って行くのですが、ある日の沖漬けがとっても変な味だったのです。調べてみると味醂だと思って入れたのがみりん風調味料だったのです。前のみりんがなくなったので安かったものを買ってきてあったのを知らずに使ったためだと判明しました。
でも、これは元のちゃんとしたみりんの味を知っている人だったからわかるのであって、こういった添加物がいっぱいの○○風なんていうものばかりで育った人には、わからないと思います。値段ばかりで買い物をしていると日本の食文化さえ危ういと思った瞬間でした。
元 食品添加物のセールスマンだった著者が、自分の開発したミートボールを自分の子供に食べさせられなかった経験から始まる内容は、衝撃的でさえあります。
安い食品と、コンビニのような便利さは、確かに今の社会に必要なものであるけれど、その奥でなにがおこっているのかは知っておいて損はないと思いますよ。
この本を読んで、なんだか最近廃業してしまう豆腐屋さんが多いのもわかるような気がしてきました。
豆腐は安くすると言っても(元々安いと思いますが)、代わりの添加物を大量に使ってできるものではないですから、ほかのそういった加工食品の値下がりと同じように低価格で売られれは、仕方ないのかなと・・・

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