お月さん

【2004年10月10日】

 私の「秋がきたなあ・・」と感じる目安は、飛行機の音です。真っ青な秋晴れの空の日に聞こえる飛行機の音は、言葉で表現するのは難しいですが確実に夏に聞く音とは違います。そうこうしているうちに、夕暮れが早くなり、金木犀の香りがしてきて、本格的な秋を感じます。そして、中秋の名月と言われるお月さま。
 しかし、残念ながら、今年は、地震に台風、たくさんの天災に気をとられ、いくつもの台風のおかげで秋晴れの日がほとんどなく、何も感じないまま肌寒い秋になってしまいました。
 今や、県外に嫁ぐなんて珍しくない、海外に出ていく人たちもいっぱいの時代。でも20年前、小さい時から「私、お母ちゃんのそばを離れへん、お嫁さんになんか行かへん」が口癖だった気の小さい私が、突然、「山口県の人とつきあってます。その人と結婚させてくれへんのなら誰とも結婚しません」なんて言われた両親は、まさに青天の霹靂だったことでしょう。2年かけての説得?親が観念した結果、下関に嫁ぐことになった私。父はどんなに時間がたっても受け入れられない現実のようで、母はといえば、センチメンタルになりながらも送り出してくれたのでしょう、「遠くにいてもお月さんは同じやから、お互いがんばろう」と言ったのを忘れません。
 こんなに書くと、熱烈に親の反対を押し切った恋愛結婚というイメージで何もかもうまくいくと思われがちですが、結婚生活なんていうものは、山あり谷あり。いろいろなことに出くわします。しかし、自分で選んだ道ですから、平常心を失いそうになった時は、やはり月を見ます。ベランダから洗濯物を干しながら見る月もあり、関門橋のうえに出る大きなまん丸の月を見ることもあります。
 最近どこかの番組で、月を眺めすぎると犯罪が多くなるなんて言った易者さんもいらっしゃるようですが、月の満ち欠けをたよりにいろいろなことを推し量ってきた人間にとって、力のわくものであるのも確かなようです。今年の春、息子が、東京でひとり暮らしをはじめる時にも、母からもらった「お月さん」の話をメールで送りました。私には、ざわついた気持ちを原点に戻したくなる時に、なくてはならない「お月さん」なのです。

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